2011年7月13日水曜日

懐石と会席

懐石料理と会席料理の違いについて、ふや平第十五代当主、神宮晴三郎が昭和42年に山陽新聞に掲載したコラムを引用したいと思います。

「懐石と会席は同音のところから混同されがちだが、会席は本膳を簡略にした酒宴の料理であり、懐石は茶の湯の前に出す簡単なごちそうで、特に茶懐石とよんで区別する。このように懐石料理は茶の湯と共に発達したもので、あくまで茶が主であって懐石は従だから、はじめに十分な量の料理を出すと、後でさしあげるお茶がまずくなってしまう。従って懐石料理は腹八分目というか、ふところに小石を入れた程度がちょうどよいという意味から懐石の語が生れたといわれる。
 懐石にはずいぶんと面倒な作法があって、むずかしいものと思われがちだが真の懐石の心は決して趣味的なものでもなければ、ぜいたくを尽くしたものでもない。時期はずれの珍しい促成野菜や、高価な材料を使う必要は決してなく、一般家庭のお総菜に使う材料でよい。要は季節に合った良質で新鮮なものを選び、ことさらに手数をかけたり細工をしないで材料の素朴な味を生かすことが大切だ。
懐石を今日のような一応の形に定めたのは利休居士で、元禄のころ料理茶屋がおこり、料理に懐石風が取り入れられて現在の姿になったわけだが、本来の姿は家庭に客を迎えて主婦の手料理でもてなすもので、懐石は日本料理の中で、家庭料理にもっとも近いものなのだ。」



と、まあこんな感じですが、懐石と会席の違いに付いては、料理を提供するシーンの違いみたいですね。


料理そのものに関しましては、現代風に言うと、旬の材料の持ち味を生かし、あまり手をかけすぎずにシンプルな料理が一番いいということを言いたかったのだと思います。
 
 先代である私の父親も、「料理はシンプルなのが一番えんじゃ〜」と口癖のように、いっておりました。


 そういう料理に対する考えは、現当主の私も同じ考えでありまして、今の世の中はいろんな味の料理が楽しめるようになりましたが、結局は素朴なシンプルなものがよいのかなあと
十八代目としても同感といたすところであります。

0 件のコメント:

コメントを投稿